前回の続きです。
前回は、民事信託そのものを説明をするよりも前に、
税理士の視点から、注目すべき民事信託の特徴を不動産の売買、贈与、相続の場合と比較しながらご説明いたしました。
今回は順を追って民事信託とは何か??
ということを投稿いたします。
では、わかりやすくイメージをして頂くために、より身近な信託を考えてみましょう。
やはりそれは投資信託でしょうか。
投資信託はご存じの通り、銀行や証券会社が投資家から資金を集めて、管理・運用して、その運用によって得た利益を投資家に分配する、という仕組みです。
(実際には銀行や証券会社は窓口ですが、今回はわかりやすく銀行や証券会社が管理・運用をしていうことにします)
それでは、ここで信託を語る上で避けては通れない、
委託者・受託者・受益者の説明を投資信託を例にして説明いたします。
投資家は自分の資金を銀行や証券会社を信じて託します。=(委託する)
この場合、投資家のことを専門用語で委託者といいます。
銀行や証券会社は託された資金を受けて=(受託する)、管理・運用します。
この場合、銀行や証券会社のことを受託者といいます。
銀行や証券会社が運用した結果、利益が出た場合、投資家に分配します。=(利益を受ける)
この場合、投資家のことを受益者といいます。
民事信託の場合も、この投資信託と仕組みは基本的には同じです。
それでは委託者Aさんとして、民事信託の仕組みを説明をします。
Aさんは自分が所有している不動産をAさんの息子に信託する契約を結びます。
この場合Aさんの息子は受託者となりますね。
信託されたAさんの不動産は、前回もお伝えした通り名義が変わってAさんの息子さん名義になります。
Aさんの息子さんは自分名義になった不動産を管理・運用して得た利益(家賃など)をAさんに返します。
Aさんは委託者であるとともに、受益者になります。
投資信託で、投資家が委託者であり受益者であるのと同じです。
上記の
Aさん=委託者、Aさんの息子=受託者、Aさん=受益者
の形が民事信託の基本形式です。
この場合、前回もお伝えした通り税金はかかりません。
投資信託との違いは受託者が商売として管理・運用を行うかどうかです。
銀行や証券会社はもちろんボランティアとして投資家のために運用しているわけではありません。
商売として投資家から手数料をもらっています。
民事信託の場合は、Aさんの息子さんは親であるAさんのために不動産を管理・運用しているので商売ではありません。
民事信託についてイメージをして頂けたでしょうか。
「Aさんはなぜわざわざ回りくどく息子に不動産を任せる必要があるの?」
「Aさんが自分で不動産を管理すればいいのでは?」
「息子に民事信託をしなくても、ただ任せればいいのでは?」
という疑問が出てきませんか。
次回は民事信託のメリットをご説明します。
メリットを知ることで、上記の疑問が解決します!!